日輪の遺産
2007年 11月 28日
浅田氏の作品は歴史物からパロディ小説まで幅広く、その中でもこの作品は第二次世界大戦末期から戦後にかけてを背景として、現代に展開される滑稽なストーリーとともに話が織り成されています。浅田氏の作品としては、歴史小説としての真面目さと現代小説にみられるユーモアの両方を兼ね備えた中間的な作品になるのかも。
守屋さんがいた防衛省がある場所が、戦時中は大本営と呼ばれる陸軍の参謀本部だったこと、マッカーサーが来日した直後、横浜グランドホテルにGHQの総本部を置き、その後日比谷の第一生命ビルに移ったこと、終戦の日の未明、陸軍大臣が官邸で自決したことなどなど、恥ずかしながらこの作品を読んで初めて知りました。作品の中では戦中・戦後の時代をひたすらに生きる登場人物が活き活きと描かれています。どんな悪人(?)でも愛すべき人物として感じてしまうのは浅田氏の筆の力かも。ここにも素敵な男性が沢山登場してきました。とりわけワタシが魅力を感じたのは、土地成金の金原老人かな。。(笑)
浅田作品で残す大作は「中原の虹」。最近第4巻が発行されてついに完結したみたいですね。来年には文庫化されるかなぁ。うーん、それまで待ちきれないかも。。