美しい数字たち
2009年 04月 16日
内容は30代で家政婦の「私」と、交通事故で記憶障害を持った60代の初老の「博士」。そして「私」の10歳になる息子「ルート」が主な登場人物。80分間しか記憶が持たない博士は数学者です。
数字と子供をこよなく愛する「博士」。「素数」、「友愛数」、「完全数」など、ひとたび博士の口から説明されると、言葉の一つ一つが数字に対する愛情に満ちていて、数字がただの数字ではなくて、とても活き活きとした愛おしいものに見えてきてしまいます。主人公の息子はその平たい頭頂部から、博士によってルート記号の「ルート」と名付けられました。博士に言われるところでは、「ルートはどんな数字でも嫌がらず、自分の中にかくまってあげる、とても寛大な記号」なのだそうです。ルートと名付けられ、博士に愛され、数学の楽しさに目覚めた少年は、のちに数学の先生になるまでに成長します。
かつてワタシが中学生の時、習いたての素因数分解で大好きだった電車の番号を分解したら、その数がとある数の累乗×3であることが分かりました。それが解明した瞬間、とても神秘的な、まるで神の啓示を受けたような感動をした覚えがあります。この本を読んで、しばらく忘れていたその時の感動がよみがえるような、とてもあたたかい気持ちになれました。
数学をこよなく愛する人たちは、きっと数字の持つ神秘性に魅せられて、寝食を忘れるほど夢中になってしまうのでしょうね。
論理で数字を追うのは苦手でも、数字と戯れることは楽しいですものね~。
<本日の昼食>
ネオ屋台村・Grill Tokyo
ローストチキン&ハーブライス