ドナウ川を見下ろす丘の上に聳え立つ、ヴァルハラ神殿(Walhalla)。
1842年に当時のバイエルン王国皇太子・ルードヴィッヒ1世によって建てられた神殿です。
ルードヴィッヒ1世は、ワーグナーのパトロンだったルードヴィッヒ2世の祖父にあたる方です。
「ヴァルハラ」とは北欧神話では戦士の魂の館。ワーグナーの「ニーベルングの指環」でも同じく戦士の魂を祀る神々の神殿として登場しますが、ルードヴィッヒ1世のヴァルハラは、ドイツ(広義でゲルマン民族)の偉人を祀る神殿として建てられ、130人の偉人の胸像と64人の銘板が収められています。
神殿部分の大きさは、高さ15.5m、幅14m、奥行き48.5m、周囲を52本の石柱が支えています。ギリシャ・アクロポリスの丘のパルテノン神殿とほぼ同じ造り。ドナウ川の船着場から神殿までは、草地につけられた階段を上り、さらに神殿につながる大理石で作られた358段の階段を上ります。これを上るだけでぜいぜいと息が上がってしまいました。
神殿の中はあいにく修繕中。でもありましたよ、おなじみの方々の胸像が。
ベートーベン!
もちろんワーグナーの胸像も。
ルードヴィッヒ1世は一番奥の中央にいらっしゃいました。
「ニーベルングの指環」では、ブリュンヒルデの自己犠牲とともに炎上してしまうヴァルハラ。でもここのヴァルハラは、穏やかなドナウの流れと、広々としたバイエルン平野を見下ろす、静けさに満ちた神殿でした。