『菜種晴れ』 と 「菜の花プロジェクト」
2011年 04月 18日
先月25日に中公文庫から出版された新刊本です。本の帯の「絶品のてんぷら」という文字にひかれ、軽い気持ちで読み始めました。
房総の菜種農家の少女が江戸の油問屋に養女として貰われ、そこからの彼女の流転の半生を描いた人情物語です。物語の随所に菜の花と菜種油とてんぷらについての記述があり、てんぷらが食べたくなること間違いなし!
物語の中で綴られている菜の花の季節がちょうど同じだったのも面白かったのですが、物語後半に書かれいる江戸を襲った直下型地震では、このたびの震災でも注目された液状化現象が書かれていたり。物語と現実とのシンクロにちょっと鳥肌が立ってしまいました。
その菜の花。
もしかしたら今後、原発周辺で大活躍するかも?というのがこちらのデータ。
セシウム(放射性)を蓄積しやすい作物としにくい作物の一覧表です。
ウリ科植物は植物体内にセシウムを蓄積しにくい反面、アブラナ科植物はセシウムを蓄積する傾向にあることが分かります。
カラシナが属するアブラナ科の植物は、土壌中の水溶カリウム(K+)とセシウム(Cs+)を、さらには同じくカルシウム(Ca 2+)とストロンチウム(Sr 2+)を吸収するする性質があるのだそうです。
放射性物質によって汚染された農地でアブラナ科の菜の花を栽培することにより、Cs-137のみならずSr-90も菜の花によって吸収してもらおうというプロジェクトが、現在チェルノブイリで日本のNPO法人・チェルノブイリ救援・中部により「菜の花プロジェクト」として展開中です。
収穫した菜種には放射性物質が含まれないということも実証されているそうなので、菜種油をバイオエネルギーとして活用すれば、一挙両得。
今後福島県でも応用される可能性は大いにありそう?
図表および参考:「菜の花プロジェクト」