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宮尾作品

最近、宮尾登美子の本を連続して読みました。
最初は『蔵』。雪深い越後の気候と失明という運命にもめげず、蔵元の跡取りとして立派に成長していく女性を描いた小説です。厳しい中越地方の自然に向かい合い、ひたむきに家業を守り生きる人々の様子が、柔らかい訛を通し、温もりとなって伝わってくる作品でした。

『櫂』、『春燈』、『朱夏』、『仁淀川』は宮尾登美子自身の生い立ちから、結婚後に渡った満州での壮絶な体験、命からがらで帰国するも農家の嫁としての苦労の日々が綴られていて、これまたどれも一気読み。

代表作ともいえる『天璋院篤姫』は、気になりつつもテレビ放映は見なかったので、読んでみてとても新鮮でした。薩摩の一武家の娘が島津家の養女となり、ついには十三代将軍・徳川家定に嫁ぐも、そこで待っていたのは三千人の女官が待ち受ける大奥。実子に恵まれず、養子の十四代将軍・家茂に嫁いできたのは、京都の朝廷の姫・和宮。嫁と姑の確執と、時代の潮流に翻弄されながらも気高く生きた女性の生涯でした。

それに続いて読んだ『東福門院和子の涙』は、徳川家から初めて朝廷に嫁いだ和子(東福門院)の生涯を描いたもの。侍女の語りで描かれた内容は、歴史上表立って見えてこない女性の生きざまが浮き彫りになっていて、とても興味深く読めました。ただ、文体が現代語ではないため、なかなか読み進まなかったのですが、その分どっぷりと雅やかな京都御所に滞在した気分が味わえました。

宮尾登美子の作風は本題に入るまでの前置きが長いのが特徴かも。でもその精緻な前提があるので、その後の展開を読み進むのがとても楽しくなる感じ。時代小説はもっぱら庶民の人情物やチャンバラしか読んだことがなかったのですが、いわゆる歴史物も面白いかも。なんだかしばらくハマりそうな予感。。。
Commented by びよらひき at 2010-04-30 12:20 x
ちわ。私も大好きです。「序の舞」は絶対読んでね。
Commented by freiburg0523 at 2010-05-01 08:08
★びよらひきさん
うは~「序の舞」おススメですか~!\(^0^)/
おかずのエビフライ的存在で、楽しみは最後まで残しておきたいような…(^^)v でもやっぱ早く読みたいー!
by freiburg0523 | 2010-04-29 19:20 | 読書 | Comments(2)

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by びあだる
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